2017年4月1日に、世界一受けたい授業で放送された日本人の死亡原因 第1位 家族ががんになったら あなたはどうしますか?で紹介された授業の御紹介です。
1997年に28万人だった死亡者数が2016年時点で約37万人と過去最多となっており、身近な人が「がん」になる確率は約50%となっています。
2015年厚生労働省が発表した日本人の死亡原因も
1位:がん、2位:心疾患、3位:肺炎と「がん」が死亡原因1位となっています。
そんな我々にとって身近な病気である「がん」について解説して下さったのは「家族ががんになりました」の著者である埼玉医科大学総合医療センター 教授 大西秀樹先生で、本ページではその授業を御紹介します。
がんの告知
国立がんセンターでは医師などに向けたマニュアルには、がん患者本人に全てのがんの病名を告知するのが原則となっています。
よって、よくテレビであるような、本人より先に家族に告知することはありません。
患者本人へのがんの告知の重要性
患者本人への告知が遅れると困ったこと
患者本人への告知が遅れると、病気に対するショックよりも、家族から仲間はずれにされた事に患者はショックを受けます。
その結果、家族への不信感、疑心暗鬼となります。
患者本人への告知をする事のメリット
積極的に治療に参加する
病気を告げる事で、患者本人が積極的に治療に参加するようになります。
患者の家族のメリット
患者の家族も、患者に隠し事をしていないので精神的な負担は軽くなり看病に専念できます。
告知後の対応
告知後の患者の精神的な不安定
告知直後の患者は精神的に不安定で、告知後約2週間不安定さが続くと言われています。
この時のストレスで自殺する危険性は普通の人に比べて約13倍となりますので、注意する必要があります。
患者の精神的な不安定さを和らげる方法
告知後の精神的に不安定な患者に対して「頑張って」等で、励ましてはダメです。
不安定な患者に寄り添い不安の原因を探す事が大切です。
治療で苦しむかもと悩んでいる場合
患者の家族は、どんな治療方法なのか先生に聞いてみようと患者に対して回答してあげましょう。
治療費が高額になるかもと悩んでいる場合
患者の家族は、健康保険や制度を調べておくねと優しく答えてあげましょう。
患者の不安定さの期間
家族が、がん患者の不安を1つずつ聞いて感情を整理してあげることで、がん患者本人の不安が取り除けていきます。
結果、患者は約2週間で立ち直ると言われています。
がん患者が喜ぶこと
がん患者が喜ぶこととは、家族が普段通りの行動をすることです。
母親が「がん」にかかった例
がんの母親がしんどくて寝ていても、今日お弁当作れる?と娘さんが母親として普通に聞いてくれたのが嬉しかったそうです。
老夫婦の旦那さんが「がん」にかかった例
ある老夫婦の旦那さんが「がん」にかかり自宅にいることが多くなったことで、映画を楽しみに行ったり、公園を散歩したり二人で遊ぶ時間が多くなったことが嬉しかったそうです。
がん患者が望むこと
このようにがん患者は家族に負担をかけていることが何よりもつらく苦痛です。
そのため家族が今まで通りの行動や接し方をしてくれることを一番に望むということをしっかり認識しておきましょう。
がん患者の家族が背負う3つの負担
肉体的な負担
自分の全てを犠牲にして看病しなきゃ、私が人生を楽しんでいる場合じゃないと自分を追い詰める傾向があります。
このように、熱心に看病をすることで睡眠不足になり、約30%の人が「うつ状態」「精神疾患」になると言われています。
精神的な負担
夫や妻などの家族を失う恐怖による精神的な負担が非常に大きくのしかかります。
この精神的な負担から、上述のような「うつ状態」「精神疾患」に陥ることもあります。
経済的な負担
急性骨髄性白血病の治療を行った例の場合では、保険適用前の医療費は約1000万円だったそうです。
ですが、普通の一般家庭ではこのような高額の医療費を到底支払えることはできません。
では、支払いや治療を諦めるしかないのでしょうか?
そんな時のために、「高額療養費制度」という公的な制度があります。
高額療養費制度とは?
高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
簡単に説明すると、年齢や所得に応じて決められた上限額を超えた医療費が戻ってくる制度です。
先程の急性骨髄性白血病の治療を行った例の場合では、保険適用前の医療費は約1000万円でしたが、高額療養費制度が9割(900万円)負担してくれたおかげで、自己負担額は100万円で済んだそうです。
高額療養費制度の申請先
高額療養費制度の申請先は健康保険証の下部に記載されています。
高額療養費制度の申請
高額療養費制度の申請自体を会社に連絡することで、会社が手続きを行ってくれる場合もあります。
よって、そのような時は会社に相談してみるのも良いでしょう。
高額療養費制度の申請に必要なもの
申請に必要なものは「領収書」「保険証」「印鑑」「振込口座の分かるもの」です。
高額療養費制度以外の経済的なサポートをしてくれる制度
がんの治療のため有給を使っていても、有給自体がなくなってしまった後は休職扱いとなります。
その際に適用される制度が「傷病手当金」です。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。
被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
「傷病手当金」の支給期間は最長1年6ヶ月で、支給額はおおよそ給与の2/3です。
「がん」にかかった際の費用は合算すると高額になる傾向があるため、このような公的な制度をうまく利用して「がん」の治療を行いたいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「がん」は今や誰しも発症する病気で、家族のような身近な人がかかる可能性も非常に高いです。
そんな環境で「がん」に適切に対応するためには、患者の頑張りも大切ですが、周りのフォローも非常に大切です。
ですが、だからと言って、周りの人が体調を崩してしまっては元も子もありません。
患者本人は元より、その周りの家族の健康にも、いつも以上に気をつけながら、患者と一緒に「がん」と戦っていくことが大切です。
また、経済的負担も非常に大きくのしかかりますので、上述の公的な制度を利用して、「がん」の治療を続けていけるようにサポートしていきましょう。
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